100% 端材リサイクルシェルスーツケースへの挑戦

100% 端材リサイクルシェルスーツケースへの挑戦

創業当時から続く、端材のリサイクル技術

スーツケースの本体部分は、「真空成型」という方法で製造します。熱可塑性の樹脂シートを加熱し軟化させ、型にシートを密着させる仕組みです。

真空成型後にスーツケース本体の形に切り出すため、カットした部分が「端材」として残ってしまいますが、それらを粉砕し再び板状にして、新しいスーツケースへと生まれ変わらせます。

この資材を無駄にしない取り組みを、エースラゲージは1960年の創業当時から続けてきました。

スーツケースを製造する際に生まれる端材

北海道赤平工場では、主に〈リサイクルの材料〉と〈新品の材料〉を2層のシート状にして使用し、リサイクル材使用率は約50%。強度としなやかさのバランスを保ち、長年高品質のプロダクトを製造してきた実績のあるレシピです。

粉砕した樹脂を板状に加工している場面

 〈リサイクルの材料〉は、200℃を超える温度で溶かして板状に押し出すため、ある程度の細かさになるように粉砕します。

スーツケース端材を細かくしたチップ

 

100%端材リサイクル素材の攻略

材料のリサイクル技術は既に持っていましたが、“100%”リサイクル材を使用するには懸念点がありました。

それは、“シェルが柔らかくなる“こと。

しなやかさと強度のバランスを探るため、デザイナーと開発チームのアイデアを融合し、カタチにしていきました。そして、強度や耐久性の検証、データ収集などを担っている「A.T.I.エース品質研究所」で強度試験を重ねると、シェルの柔らかさが良い働きをする部分もあることがわかりました。

 

素材がしなることで、衝撃が分散

重りを入れた状態で、高さ120cmからキャスターの向きを変え5回落下、グライドからも5回落下させ、強度を検証する「落下衝撃テスト」。

本体素材が硬すぎると割れやヒビが入ることがありますが、柔らかい場合は垂直落下した際、キャスターに直撃する力が分散されます。

キャスター落下試験の衝撃を体感できる映像 

 

重りを入れた状態で、内側に突起など障害物のある直径3.3mの巨大な回転ドラム内で転落させ、耐久性を検証する「転落テスト」。

リサイクル材を使用したスーツケースの回転ドラム試験

 

重りを入れた状態でハンドルを上下急速に5000回動かし、ハンドルと本体及びロックなどの耐久性を検証する「ハンドル強度テスト」。

スーツケースのハンドル強度試験 

 

全てのテスト項目をクリアし、強度、耐久性、安全に使用いただくための安心な品質と証明されました。

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創業以来、当たり前に行ってきた端材粉砕。地道に積み重ねてきたことが、日の目を見る機会を与えられました。北海道に住んでいる身としては、自然環境保護は自分にとって身近な問題。「夏は蒸し暑く、冬は大雪」など、気温と湿度に違和感を覚えることが多くなりました。

端材リサイクルは、地球にとってはとても小さいことかもしれません。しかし、どんなにささやかなことでも、できることから行動していきます。

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